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第六章 室戸岬

第六章・写真  虚空蔵求聞持法の真言は根本最勝心陀羅尼[こんぽんさいしょうしんだらに]で、

"ナウボウ アキャシヤ ギャラバヤ オン アリキャ マリボリ ソワカ"というものです。

 空海はこのダラニを何万べんとなえたことでしょう。室戸崎で眼前に広がる果てしない海を前に目を閉じ深く観想していると突然、虚空蔵菩薩の顕現である明星がロに飛び込み、仏力の奇跡ともいうべき神秘体験をします。

 虚空蔵菩薩は密教で説く宇宙神、大日如来の一つの姿ですから、宇宙の中心の絶対者と合一したことになります。

 このころ、空海のなかにはすでに仏者の条件として、経典、論書に通じているばかりでなく、不思議な呪力をそなえ、加持祈祷の神通がなければならず、律令的な面ばかりでなく反律令的な二面性をもった仏者でなければならないことを強く感得していたようです。

 この謎の七年間は空海の宗教活動からみて、決して空白の時代ではなく、むしろ真に充実した日々であり、入唐のための準備時代であったといえましょう。

 現在も四国室戸岬の先端には空海の修行した洞窟「御蔵洞[みくろどう]」が残っています。

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