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カルト・セクトと伝統宗教の法的峻別を

 史上最悪のカルト集団オウム真理教の活動を停止に追い込むためのいわゆるオウム新法が、去る十二月三日参議院本会議で可決成立し、二十七日に施行される見込みである。 

 オウム新法は、オウムを取り締まる「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法」(団体規制法)と、地下鉄サリン事件などの被害者にオウムの財産を配当する「特定破産法人の破産財団に属すべき財産の回復に関する特別措置法」(被害者救済法)の二法からなる。 

 これを受けて臼井法務大臣は、オウムに対し立ち入り検査ができる「観察処分」を年内に公安審査委員会に請求する考えを示した。 

 団体規制法は、規制の対象となる団体の会員などの住所・氏名・資産について三ヶ月ごとに報告や聴取を行うことや、公安調査庁などによる施設への立ち入り検査を行うことなどを可能にした「観察処分」と、施設の使用や信者獲得のための勧誘あるいは寄付を受けることをなどを制限する「再発防止処分」の二つが柱となる。どちらも公安調査庁長官の請求を受けて、公安調査委員会が三十日以内に決定することとなっている。公安調査委員のほか警察官も立ち入り検査ができることになった。 

 被害者救済法は、観察処分を受けた団体が対象となる。オウムの関係者が所有する財産は、三年前の破産宣告の時点で隠した財産と推定する規定を定め、破産管財人が不当利得返還請求することをしやすくしたものである。 

 このような法的規制は、国民が長く待ち望んでいたことであり、とくにオウム施設や信者の活動拠点をもつ町の首長や行政担当者や地域住民は、やっと心労と金のムダ使いと実力行使から解放されることとなった。暑い夏も寒風の冬も、毎日毎晩ねばり強くオウム阻止の住民運動を展開してきた各地の自治会関係者はじめ多くの地域住民のご苦労に大きな拍手を送りたい。この人たちの自発的な自弁の勇気ある行動がなかったら、こんにちの政治的法律的成果は遅れに遅れたであろうことを容易に推測できるからである。 

 と同時にオウム真理教が社会を騒がすことになって以来、反社会的なカルト集団についてまともな批判もコメントもできず、ましてや阻止運動などにはかかわるそぶりも見せなかった各仏教教団、とりわけ「密教」や「タントラヴァジュラヤーナ(金剛乗)」の悪用により罪もない多くの市民が命を奪われた悲劇をまのあたりにしながら、終始ダンマリを決め込んできた真言各派の宗団当局者の意識の低さと無能ぶりは目を覆いたくなるばかりであった。猛省を促したい。事態の深刻さは戒名問題どころの比ではないからだ。 


 時に創価学会はフランスでは「セクト」(「カルト」と同じ扱い)とみなされているそうである。言ってみれば「全体主義的反社会性の強い集団組織」ということになっているのだ。むべなるかな、さすがは思想・哲学・文学・絵画の国、インテリジェンスを大事にする国。池田大作が調子に乗ってシラク大統領に面会を申し込んだらすげなく断られたのだそうである。ヨーロッパの伝統国はハッキリしているのである。どうせ池田のことである、宗教ビジネスの総本家らしくシラク大統領に大金をちらつかせておどしたのであろうが、一笑にふせられたに違いない。 

 私たちはこのフランスにならい、この日本でも「カルト・セクトと伝統宗教の峻別」を法律によって定めることをここにアピールしたいと思う。カルト・セクトを「信教の自由」などとおだてていてはダメだということが、世紀末のこの国ですでに証明された。ちょっと以前では「阿含宗」といい、近くは「統一教会」といい「幸福の科学」といい「オウム」といい、最近の「法の華」といい「ライフスペース」といい、教祖といわれるいかがわしい「おやじ」「おっちゃん」がひとの弱みにつけ込んで、やれ「守護霊」だの「イニシエーション」だの「エルカンターレ」だの「ポア」だの「天声」だの「定説」だの、サギ商法をカモフラージュするためによくぞ「迷言」を発明したものだ。億万長者になる日を夢に見ながら一生懸命知恵をしぼったのであろうが、それこそ低脳の証しだ。 

 バカげた宗教の横行に国民はみな眉をひそめている。この体たらくの元祖・総本家は実は創価学会ではないのか。その創価学会をスポンサーにしている政党が、いまや政権党の仲間に入り国家権力の中枢でのさばっているというこの異常さ、国際社会の笑いものである。 

 法律の施行によって「カルト・セクト」と指定された団体は、非合法組織として摘発されその活動を停止・禁止されることになる、こういう提案にはかならず「人の心の問題に国家権力が介入する」といって、いわゆる人権派の進歩的文化人が反対する。 

 そろそろもう「人間中心主義」だか「ヒューマニズム」だか知らないが、バカのひとつおぼえのまちがった民主主義を一度卒業した方がいいのではないか。 

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