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弁顕密二教論

 平安時代の初頭に、法相・三論・華厳・律・倶舎・成実・天台の諸宗の間に新たな真言宗を開くためには、真言密教と従来の諸宗たる顕教と対比して両者の相違を指摘し、真言密教の特質を明らかにする必要があった。これが顕密二教の教判といわれるものである。弘法大師空海は帰国後早々に書き記した御請来目録の中にすでに顕密二教を対比して密教の特色をあきらかにする思想を示しており、爾来晩年に至るまで、多くの著作の中でしばしばこの問題を取り上げている。したがって顕密二教の相違を明確にすることは弘法大師の生涯を通じての大きな課題であり、真言宗の独立のための一大思想運動であったと見ることができる。しかるに直接にこの問題にとりくみ、最もまとまった形で論述したものが弁顕密二教論二巻である。
 本書は序説と引証喩釈と引証註解と結語とから成っている。その内容の問題を要約すると、第一に能説の仏身、第二に所説の教法、第三に成仏の遅速、第四に教益の勝劣について、顕教と密教とではそれぞれ著しい相違のあることを指摘している。

 本書の年代は明らかではないが、恐らく弘仁六年以後間もない頃であり、大師の著作の中では比較的前期に属するものと考えられる。
(『弘法大師著作全集』第1巻(山喜房仏書林、1968年)解説、勝又俊教)


【要文名句】               
●それ仏に三身(法身・報身・応(化)身)あり。教は二種(顕教・密教)なり。応化の開説を名づけて顕教という。ことば顕略にして機に逗えり。法仏の談話これを密蔵(密教)という。ことば秘奥にして実説なり。
●もし『秘密金剛頂経』(『略述金剛頂瑜伽分別聖位修証法門』)の説によらば、如来の変化身は、地前(十地以前の段階)の菩薩および二乗凡夫等のために三乗(声聞・縁覚・菩薩)の教法を説き、他受用身は地上(十地以上の段階)の菩薩のために顕の一乗等を説きたもう。ならびにこれ顕教なり。自性(自性法身、理法身)・受用仏(自受用法身・智法身)は、自受法楽の故に自眷属とともに各々三密門(三密平等の法門)を説きたもう。これを密教という。
●この三密門とは、いわゆる如来内証智(大日(如来)の内なるサトリの智)の境界なり。等覚(十地のすぐ上の段階)・十地も室に入ること能わず。いかに況んや二乗凡夫をや、誰か堂に昇ることを得ん。

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【参考文献】               
★『弘法大師著作全集』第1巻(山喜房佛書林、1968年)
★『弘法大師空海全集』第2巻(筑摩書房、1983年)
★『現代語訳 弁顕密二教論』(福田亮成、ノンブル社、2001年)

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